小さな脅威「ヒアリ」

2017年5月26日、兵庫県尼崎市に停泊した中国からの貨物船内での発見に続き、同年6月16日、神戸港でも個体の確認がされたヒアリ

たびたびニュースで取り上げられている話題ですが、いったい何が問題なのでしょうか。今回はヒアリについて記事を書こうと思います。

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刺されると火傷のような強い痛み

ヒアリという名前の通り、刺されると火傷のような激しい痛みが襲ってきます。彼らの腹部には毒針があり、その毒性はスズメバチと同程度だと言われています。

 

異名「殺人アリ」

ヒアリに刺されて死亡した例もあります。彼らの持つ毒はアナフィラキシーショックを引き起こす場合があり、それが死亡の原因となります。アナフィラキシーショックとは、短時間で全身にアレルギー反応が出ることです。毒から身を守ろうとした体内の防衛機構が働きすぎてしまい、自分の体まで攻撃してしまうことで起こります。アナフィラキシーショックは通常2回目に起こります。

 

 ヒアリに天敵はいない?

一般的にヒアリには天敵が存在しないと思われています。しかし、実際はそうではありません。ヒアリは元来、アマゾンに生息をしていました。そこにはヒアリの天敵が多数存在し、ヒアリは生態系のバランスを崩すようなこともなく、特に脅威とみなされることもありませんでした。しかし、人間がヒアリをアマゾンの苗木や土などと一緒にコンテナ船に乗せてアメリカ本土まで運んでしまいました。天敵のいないアメリカ本土で彼らはすぐにその数を増やし、さらに他のコンテナ船に乗って、中国、オーストラリアなど太平洋周辺国に生息域を拡大していきました。ヒアリに侵入されたどの国にもアメリカと同様にヒアリの天敵となる生物が存在しなかったため、ヒアリによる被害は深刻化しました。

 

寄生するゾンビ

ヒアリを駆逐するために注目されている生物がいます。通称「ゾンビバエ」です。彼らはたった一匹で数十匹のヒアリを殺してしまいます。その驚きの仕組みですが、まず彼らは一瞬の隙をつき、ヒアリの体内に卵を注入します。ヒアリの体内で孵化したゾンビバエの幼虫はヒアリの体液を吸って成長しながら、ヒアリの頭部を目指して移動を始めます。その間、ヒアリには何の異常もありません。幼虫は頭部に達すると脳を食べ始めます。そこでヒアリの行動に異常が出てきます。脳を食べられ、ヒアリは当然死んでしまうのですが、驚くべきことにヒアリは死にながらも動くのです。まるでゾンビです。これはゾンビバエの幼虫の仕業であり、これがゾンビバエの名前の由来となっています。幼虫は完全に成長すると、特別な酵素を分泌し、ヒアリの頭を落とします。そこから這い出たゾンビバエはすぐにヒアリへの攻撃を開始します。とても恐ろしい生物ですがゾンビバエはヒアリにしか攻撃をしません。そのため、ヒアリが減少すると、ゾンビバエもその数を減らしていきます。そのため、ゾンビバエによる人間や、ヒアリ以外のその他生物への悪影響はないと考えられています。いまのところは。。

 

 

ここまで書いたことは遠い国の話に留まりません。ヒアリは日本にも侵入を始めています。日本でのヒアリの発見は相次ぎ、もしかするとすでにヒアリは日本に定着しているかもしれません。時には人間を死に至らしめるほどの危険なヒアリから身を守るために、私たちはヒアリのことをもっとよく知っておく必要があります。最後に、ヒアリを発見した時は決して近づかず、適切な機関に連絡をしましょう。